(建設不況)貸し渋り貸しはがし加速懸念
|
帝国データバンク調べ |
不動産、建設関連企業の倒産が止まらない。6月以降、アーバンコーポレーション、スルガ、ゼファーなど東証1・2部の大型破綻が相次いでいる。9月15・16日のリーマンショックを契機に国内金融機関の「貸し渋り」「貸しはがし」が加速することが懸念される。
建設業の1割に貸し渋りや貸しはがし
大手建設・不動産の破綻は、サブプライムによる外資金融機関の日本離れ、不動産の価値下落、売却が進まないことに加え、金融機関の建設・不動産セクターへの融資基準又は条件の厳格化により、資金繰りが行き詰ったことが主な理由だ。それを裏付けるように、帝国データバンクが9月3日に発表した「融資姿勢および資金調査に関する企業の意識調査」によると、建設業の10社に1社が貸し渋りや貸しはがしを受けていたことが明らかになった。「建設業界による与信が大変厳しく、新規融資に応じてもらえない」「運転資金は黒字だが、突然資金を打ち切られた」「3年先の受注計画がないと融資出来ないといわれた」「返済期限前の返済を余儀なくされた」など、大手だけでなく、中小建設業に対する金融機関の目はいっそう厳しくなっている。
政府が「融資先選別」を誘導
一般的に、金融機関がこのような姿勢をとる背景には、サブプライムが最大の要因とされ、そこにリーマンショクが更なる追い討ちをかけるのでは?といわれている。しかし、それ以上に、住まいのネットワーク17号(07年3月)で指摘していた、金融機関に対する「バーゼル?」「責任共有制度」導入が大きく影響しているのではないだろうか。当時、金融機関は安定していたため、新制度導入はさほど問題視されなかったが、銀行のリスク回避のための融資先選別を強化させる可能性は指摘されていたのだ。
総選挙で建設業者の意志を示そう
かつて大手金融機関が危機におちいったとき、国民の血税47兆円が投入され銀行を救った。しかし、大手13行は年間約3兆円の利益を出しながら、税金は1169億円しか収めていない。それなのに景気が悪くなった途端「貸し渋り」「貸し剥がし」とは許せない。政府は緊急経済総合対策を言い出したが、そもそも「貸し渋り」「貸しはがし」を誘発する制度を導入したのは自公政治に他ならない。政府に実効性のある対策を求める一方で、きたる総選挙では政治を変える我々の意志を示すことが必要だ。
|